子供を主要読者として
そんな児童文学作家として大成したいと考えている人は多いだろう、ここでいうところの作家とはあくまで『子供』をターゲットにした人々のことを指している。そういう意味では日本のそうした文化は世界でもあらゆる意味で注目され、ヒットすれば世界的な人気を獲得することも難しくなかったりする。ただそうした作品までを含めてしまったら話が壮大すぎる展開を迎えてしまうので、あくまで児童文学と分類される作品を描く作家に着目していく。
子供を読者とするなら、当然必要なのはまず子どもたちが『喜びそうな作品を描いて、かつ読みやすい内容にする』という事は大前提だ。難読な言葉を用いたり、今時でいうところの主人公などに多数の人がはてなを思い浮かべるようなDQNネームを考えて使用するなどと、そういった価値観を持ち込んではいけない。童話とは常にだれでも読めるものであらなければならない、肝心の読者である子どもたちに理解されないようでは作品としての価値を今一度見なおさなければならない。
そうなるともちろん適性という側面も出てくる、何と言っても子供に対して好意的に接するだけの器量などが備わっていなければ、子供視点での物語など描けるはずもない。大人視点で書こうと思えばいくらでもできるが、年代に沿った視点から物事を観察して表現することは並大抵のことではない。なろうと思えば誰でもなれるが、制作した作品が大勢多数の人々に受け入れられるか否かは実際の内容によって左右される。
得意なジャンルで
児童文学作家、つまりは童話作家になるためのコツとしては子供視点になることだが、そうした視点以外にも根本的に必要な物がある。それは作家個人として書きやすい世界を表現するということだ。個性は必ず出てくる、そしてそれは作品の世界観にも大きく影響を与え、ジャンルとしてどんなものが一番書きやすいかということへも直結する。気持ちを理解して子供の事を考えながら書くのも大事だが、何より作者本人が書きやすい世界観でなければ伝えられるはずの言葉も描写も表現も、何もかもが伝わらなくなってしまうからだ。
これは童話作家のみならず全ての作家に対して共通している。皆それぞれに得意ジャンルがある、そのジャンルを活かしてどれだけの人を共感・知的好奇心を出すことが出来るかが、勝負どころだ。現代で活躍している作家たちにもそうした一本筋の通った作品の価値観や世界観は案外似たり寄ったりといった物がある。新ジャンルに挑戦するといった触れ込みもあるが、根っこの部分では一番各頻度の高い作品ジャンルが変わることはない。
童話においても作者が興味関心の高いテーマで描かなければならない。流行りというのも大事だが、それ以上に自分が描いていて苦ではない作品でなければ個として確立されることはないのだ。
大人にも読めるように
昨今の発売されている童話には子どもだけでなく、大人でも読める作品が多く発売されている。少子化が進行しているのもあるが、やはり大人も読者として主要ターゲティングすることで影響力を高められるからだ。大人でも読める童話、こうしたキャッチフレーズは企業としても高い宣伝力を持っている。触れ込みやPR次第といった見方もあるが、誰もが読めるというのは少なからず良い意味でも、悪い意味でも人を引きつけるだけの魅力を備えているものだ。
大人にも理解してもらえる作品を作る、それがどれほど困難なものなのかは言うまでもないだろう。そのため作家としてのセンスもそうだが、技術的な側面からも高度なテクニックが求められると言われている。技術面であれば長年勉強をしていればそれなりに身にはつくだろう、ただ物語の根幹とも言える世界観に関してはその人なりの価値観や考え方、人格に思想、果ては宗教といった側面にも大きく枝分かれしているため、人と同じものを作ろうと思っても中々出来るものではない。
作家には独創性が求められるものだが、それは童話であろうとも同様に言えることだ。
どの年代に読んでもらうかもかなり重要
童話といっても内容によっては長くなってしまうなど、テーマやストーリーの構成を行っていく中で限られた範囲でいかにしてまとめ上げるかも重要な部分。童話と呼ばれるものを読むのは、子どもと言ってもせいぜい小学生くらいが限度だ。それ以上になると童話を読もうという気にもならないだろう、中には興味関心から読んでみたというケースもあるかも知れないが、一般的な区分としてはどんなに高く見積もっても小学校高学年クラスまでを目安とする。
ではどのくらいの内容が一番ベスト考えられているのかというと、
- 幼稚園から小学校低学年向けの童話:400字詰め原稿用紙で10枚~30枚程度
- 低学年向けの童話:400字詰め原稿用紙で20~30枚程度
- 中学年向けの童話:400字詰め原稿用紙で30~100枚程度
- 高学年向けの童話:400字詰め原稿用紙で100~300枚程度
このくらいに仕立てあげたほうが良いとされている。ただ最近は活字離れが進行し、本を読むという事を普段からしていない子どもたちも増えているためそういう意味でも数は分かれるだろう。中にはこれだけでは足りないと考える児童もいるかもしれないため、あくまで目安と考えて貰って構わない。